新春のMCEI大阪定例会は梅田グランフロントにある岡村製作所様の会場をお借りし、ドン・キホーテグループ インバウンドプロジェクト責任者 中村 好明氏をお迎えしました。テーマは「観光立国」と「地方創生」についてです。

外務省によるビザ発給条件の緩和に伴い当該国からの観光客が増え、円安も加速し、アジアやヨーロッパをはじめ諸外国からの人々が今日本に押し寄せる。

2013年からの新免税制度も大きな追い風となっている。

2015年は日本にとってエポックメイキングな年であった。

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インバウンドが2000万人を超え、インバウンドとアウトバウンドが逆転したのだ。

モノの流れで見るとインバウンドは輸出であり、アウトバウンドは輸入である。

この潮目において中村氏はインバウンドで到来する他者に文化を伝え、文化を分かち合い、友達としてのネットワークを創ることが大事であり日本のブランディングはそこから成り立つという。

訪れる他者のライフスタイルを考え、自らの文化の深層にあるライフスタイル(たとえば太陰暦による生活の時間感覚など。)を忘れずにインバウンドの深化をはかるコトが大事だという。

今後日本は貿易だけに頼るのではなく3兆4000億円ものインバウンド消費においてモノだけではなくコト消費も輸出できる状況という未体験のゾーンに突入していく、時代は変わった、観光立国革命の時代で日本人はアイデンティティを取り戻すため持続可能な全産業、全省庁、全国民のおもてなしと全国各地のサスティナブルな社会の創造を説く。

これが中村氏の提唱するプレミアムな日本を創るためのインバウンド3.0戦略である。

2020年を過ぎると日本の人口は年間50〜70万人ずつ減少していく、加速度的に人口が減少していく日本において全産業・全省庁・首長・全国1718市町村が関わり観光コンテンツを磨き、世界があこがれる都市、街となることが必要である。

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そのためには、公共哲学を学んだ中村氏は2400年前にギリシャのソクラテスが大成した哲学を導入することの必要性を説く、哲学は、欧米でも一般市民にとっては縁遠いものであり、分かりにくいもの。

日本ではよりいっそう、難しいものだとされている。

まず哲学の基本となる超自然的原理<「イデア」(プラトン)・「純粋形相」(アリストテレス)・「神」(キリスト教神学)・「理性」(デカルト、カント)「精神」(ヘーゲル)>のようなものが、われわれの思考の内に見いだされない。

「わが日本、古より今に至るまで哲学なし」中江兆民は言う、西洋哲学と日本におけるその哲学との関係は整理する必要はあるが、観光立国とは哲学立国であると氏は説く。

わが町を知る、再度見直す、CITY IDENTITIY なくしてインバウンドは無い、1718の市町村のそれぞれの強みの再確認をし、全世界の他者の眼差しから「いま住む街と我がふるさとは?」「私はなにものか?」問いかけることが必要である。

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なぜインバウンドに取り組むのか。

人類の半分以上である35億人近くが都市に住んでいるという。

この数字が今世紀半ばで全人口の四分の三に膨れ上がる。都市は豊かさだけではなく貧困も引き寄せ、増加させる。

「欠乏マインドと豊かさマインド」という考え方がある。

足らないものを他から奪うのではなく、閉じられた世界のリソースは有限であるからこそ無限であるという考えに基づき、豊かさマインドで考えること、「私」と「あなた」から「私達」にシフトできる。

周りはライバルから皆、同志・仲間へとインバウンドはその街の魅力を皆で高めていく、皆が幸せになる。

中村氏はさらに言葉を紡いでいく。

インバウンドリーダーの条件としては

1・考える力:耳を澄ます力、哲学、他者の視点に立つ、離見の見、時空を超えて思考する、形而下と形而上学、他者への感謝と尊敬、想像力

2・示す力:ビジョン、全体像、未来像を示す

3・巻き込む力:お節介、思い出を発信する、動機善なりしか私心なかりしか、巻き込む力=巻き込まれる力、フラットなリーダーシップ、素直な心

4・醸す力:花仕事と米仕事両方一生けん命やる「米仕事」とは経済活動で「花仕事」とは社会への奉仕活動である。ほとんどのビジネスマンは米仕事しかやらないがインバウンドは両方必要である。米+花で麹こうじという意味となる。

5・貫く力:一貫性、成し遂げる力、コンテンツではなくコンテコストを見抜く、コンテクストを語る

6・売る力(売り込む力)価値ある思いを売る、ビジョンを売る、豊かさマインドと欠乏マインド

7・育てる力(次の自分を創る)Find Your Successors!後継者を見つける、ビジョンの後継者

ho philosophos「知識を愛する人」中村氏は年間200回を超える講演でインバウンド、観光立国日本を説いて全国を巡る。

まるで中世の遊行僧のようですねとお伝えすると素敵な微笑みが返ってきた。

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