猛暑が続く大阪に、久しぶりに佐藤尚之氏に登場いただきました。

定例会201508-01.jpeg

“圧倒的な絶望から始めよう、露出量勝負は終了”
1ゼタバイト(1ZB)は世界中の砂の数、人類は今圧倒的な情報量にさらされている。
2020年には35ZBに達するという、情報 “砂の一粒”時代 世界中の砂浜のどの部分を取り出せば生活者のこころに伝わるのか、伝えるのはもはや無理で自分に関心の無い情報はすぐにデリート(Del)される。今メディアランドスケープは「世の中ごと」、「仲間ごと」、「自分事」これらが複層的にフィルターとなり超成熟市場にメディアツールとしてあふれ、従来のマス広告が効かなくなってきている。

ソーシャルメディアを駆使する人たちと全くネットに触れない人たち。
日本人の約半数がネットを使用しない、見ない人たちである。
新しい人たちとの関係より今までのつながりを大事にする、郊外の地元族やヤンキー文化にシンパシーを抱く人たち、そのような中で二極化する層を切り分けてコミュニケーションプランを立案することを佐藤氏は提案する。

定例会201508-02.jpeg

SNSを駆使する層に情報を届ける方法は“FanBace”友人、知人を介せば伝わる、伝わる言葉は“オーガニックな言葉”友人が語った自然な発言で態度は変容する。
①信頼メディア(友人、知人に頼った情報源)
②拡散メディア(友人、知人の共感を伴った拡散)』
③便利メディア(ソーシャルなフィルタリングによる有益な情報取得)
④常時メディア(スマホの普及により友人、知人と24時間繋がっている)
とはいえ人は簡単に“オーガニックな言葉”で勧めない!大ファンであるもの。
事前の期待を大幅に上回ったもの。
リアルに体験したもの。
自分の価値を上げそうなもの。
Fanから“オーガニックな言葉”を引き出す方法は、社員という「最強のファン」を活用する、ファンをもてなし特別扱いする、生活者との接点を見直すこと、ファンと共に育つこと。

定例会201508-03.jpeg

20世紀はマスコミュニケーションを中心に興味関心の無い人にも広告はアプローチした、広告は伝える方法、見させる方法であったがその圧倒的露出量はもはやウザイ。
21世紀は個の1対1の時代、その個がネットワークでつながった1対N対N・・・・・・の時代。
広告は、コミュニケーションは生活者の中に入って「笑顔」を引き出す。intoC、生活者の中で機能する。

佐藤氏は情報の洪水に晒される世界を「情報砂の一粒時代」と表現した、しかし「情報砂の一粒時代以前」の人たちも6000〜7000万人いるという。
どうやら我々はいずれの極に位置しようが“圧倒的絶望”から始めなければならない様だ。

定例会201508-04.jpeg

くしくも今年は戦後70年である、焦土と化しデリートされたタブララサ(空白的に消去された)の地平から、より生活者の細部の真実せまるにコミュニケーション手法を創らなくてはならない様だ。
虚無化し肥大する空間文化の地平に向かって、立ちはだかる氷河期の眼前の氷壁に向かって脳内ニューロンを組み替える潮目にいるのでは。

2015年8月13日 橋詰仁