キリンのRTD戦略について聴講した。RTDとはReady To Drinkのことでそのまますぐに飲める缶チューハイなどの低アルコール飲料のことである。講師はマーケティング部の女性の井本さん。1970年生まれのキャリアウーマン、生き生きとした笑顔がすばらしい。

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まずは市場動向について、2014年度RTDは13000ケース、前年比+7%の伸び、2015年度も4〜5%の伸びが期待できる成長分野である。酒は甘めが好き、ブランドよりフレーバー(イチゴ、レモン他)でいろんな味を楽しみたい、アルコール度数の低いもの等が20代の若年層に受け入れられてきている。またビールを飲んでいる人も、たまには違った味を楽しみたいといったビール派からRTDを併飲する人が徐々に増えてきているそうである。キリンさんは2014年度4380ケースを出荷、伸びも15.6%増と非常に好調である。それでもまだまだビールの10数%の構成ということである。

キリンの缶チューハイにはRTD全体の30%近い販売力を誇る主力ブランドの「氷結」そして高果汁の「本搾り」が有名であるが、新たな市場を開拓した「ビターズ」を昨年販売した。「ビターズ」のコンセプトは〜とりあえずビールからとりあえずチューハイ〜ということで今までビールを志向した人が、時にはRTDを飲むことを想定し「ほろにがさ」を特徴としている。こだわりのビターリキュールで大人の味覚、食事にも合うコンセプトとなっている。低アルコール4%のビターズクワトロも発売、初年度は「氷結」に次ぐ実績となる。

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そして「お酒を魅力的に感じているが、がっつり飲むのはいやだ」「アルコールが入るとやりたい事ができない」といった初心者向け「バタフライ」を発売予定、アルコール1%、250mlのスリムサイズといった飲みやすさを狙っている。

現在キリン缶チューハイの人気ブランド「氷結」も、好きなチューハイは?という問いに対し2014年は40%の支持、2年前から8%ダウン。「氷結」ブランドの拡大を狙って、氷結らしい冷たさ→シャリシャリ感→凍らせるといった新たな発想で〜ぐっとにぎってチュー〜のコンセプト「氷結アイススムージー」を企画、夏のイベントや野球場でテスト販売、20代の若者がツイートしており話題になっている。

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年間120アイテムの新商品が開発されているRTD市場において、キリンさんはセグメンテーション→ポジショニングといった手法で更にマーケットを細分化し、次々と新たな市場を開拓し新商品を世に送り出している。井本さんは成功したときの喜びが非常に大きくやりがいのある仕事をされているなあと思いながら楽しく聴講させていただきました。