澤田です。

いやあぁっ!じつにおもしろかった!

大学の教壇で「営業力」を教えているぼくにとっては
昨日の講演はものすごくエキサイティングなものでした。
自分の頭の中もおさらいもできました。

昨日のMCEI大阪支部 2014年8月度 定例会は
マーケティングの勉強会には珍しく
東京から証券アナリストの講師をお招きしました。

メリルリンチ日本証券の青木英彦氏。
メリルリンチ日本証券の親会社は
あの米バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)です。

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ネット上にアップされたいた青木さんのプロフィールです
青木英彦(あおき・ひでひこ)
小売、食品、トイレタリー、医薬品チームヘッド。

1989年から20年間余にわたり小売セクターの調査を続けている。
1989年神戸大学経営学部卒。
1994年米デューク大学経営大学院にて
MBA(Health Care Management)取得。

日本証券アナリスト協会検定会員。
CFA 協会認定証券アナリスト。
経済産業省産業構造審議会 流通部会委員。

講演のテーマは「Amazonの躍進と流通業の今後について」です。
先ずは証券アナリストらしく今年4月の消費税増税前後の
景況感をグラフをつかっての説明です。

駆け込み需要も増税後の落ち込みも
政府もメディアも楽観論で統一されていますが
データを見るとこれからが本番で楽観は許されないとの見解です。

次はAmazonについてです。
これもデータに基づいていかにものすごい
高収益企業かを教えられました。

そして流通業の今後についてに入ります。
1970年ごろに日本で起きた流通革命です。
広域量販店やコンビニが、スーパードラッグが生まれます。

それはそれまでメーカーがすべての価格を握っていた
商品の価格決定権を消費者に取り戻すため
消費者の傍にいる小売業に価格決定権を取り戻すことでした。

そのころ我が国に鳴り物入りでアメリカから直輸入された
流通革命のいろいろな概念のなかでなぜか
日本に定着しないままに消えていった二つの概念があります。

ECR Efficient Consumer Response 効果的な消費者対応
カテゴリマネジメント category management カテマネ
この二つですが昨日の講演ではECRをちゃんとやり直そうと提唱されました。

ECRといえば1980年代のアメリカで起きた
ウォルマートとP&Gの組み合わせです。
当時ぼくは広告代理店の営業としてP&G FE社を担当していました。

当時のP&G FE社の社長 R.マクドナルドが言っている話があります。

「P&Gが考えるECRとはメーカーから小売りまでが協力し、
 消費者により高い価値をもたらすこと。
 顧客満足度(CS)を最重視し、メーカー、卸、小売りの
 非効率な商慣行などを廃止や見直し、コストを削減する。
 それにより、シェアを高め、利益を伸ばすことが目的

 現時点では、製造・卸、卸・小売りの各段階で交渉が存在するが、
 交渉はいずれかに損をもたらし、そのツケは消費者に回る。
 交渉を不要にしなくてはならない。透明な環境で取引することが必要

 具体的には
 1..品ぞろえ
 2.在庫管理
 3.プロモーションと値付け
 4.新製品の導入

 革新的な商品を、アイテム数をしぼって、
 価値が最大になるよう安定した価格で提供。
 取引は公平さを高めるため、色々な商品で
 価格条件を見直す」

製造・卸、卸・小売りの各段階で交渉が存在するが、
交渉はいずれかに損をもたらし、そのツケは消費者に回る。
交渉を不要にしなくてはならない。透明な環境で取引することが必要

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ひょっとして交渉って営業活動のことでしょうか?
P&Gは営業活動を止めろって言っているのか!
そんな社長発言にびっくりしたことを思い出します。

昨日の講演でもP&Gの営業マンの人数より
日本の日雑メーカーの営業マンの数の方が
圧倒的に多いと話されていました。

昨日の講演では青木さんが経産省産業構造審議会
流通部会委員をされており製販連携協議会で
メーカー、小売(量販店)の取引条件の最適化を協議されてます。

SCM Supply Chain Management 供給連鎖管理/製販同盟

主に製造業や流通業において、
原材料や部品の調達から製造、流通、販売という、
生産から消費にいたる商品供給の流れを
「供給の鎖」(サプライチェーン)ととらえ、
それに参加する部門・企業の間で情報を
相互に共有・管理することで、ビジネスプロセスの
全体最適を目指す戦略的な経営手法、
もしくはそのための情報システム

残念ながら時間がなくなり講演は
流通構造の再構築を目指せという
ところで時間切れとなりました。

P&G FEが1995年に新取引制度を導入します。
消費者、得意先、P&GのWIN-WIN-WIN関係を構築し、
「最も貢献し、信頼のおけるビジネスパートナー」を目指す

そのテーマは
Simple(簡素) Clear(透明) Fair(公平)です。
まさにこの方向が改めて再構築に必要な概念と再認識しました。

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いやあぁぁっ!おもしろいお話でした
証券アナリストってもっとクールな人だと思っていたのですが
ものすごく熱い思いをお持ちの青木さんでした。

MCEI大阪支部41年目の2014年度の年間テーマは
「生活者とともに進む-マーケティングの可能性-」です。
まさに生活者とともにを再認識した昨日の定例会でした。

MCEIは多様なマーケティングの現場で
困難な課題に挑戦し続けている
実務家の組織です。

希望はここから、
勝負はこれから。
これから面白くなる

今日、ここからまた新しい出発
元気出していこう。
(水口語録より)