澤田です。

「寄り添う力 Being with you」

昨日はMCEI大阪支部3月度定例会でした。
そしてMCEI大阪支部創立40周年記念の
三か月連続定例会の最後の定例会でした。

お招きしたのは流通科学大学 学長、
日本マーケティング学会 会長の
石井 淳蔵先生のご講演でした。 

「そうそう!それが欲しかったのよ」
そんな生活者の言葉を引っ張りだせるのが
マーケターですと仰る。


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今回は石井先生のご厚意で先生の近著
『寄り添う力 マーケティングをプラグマティズムの視点から』
 http://bit.ly/1hJDLa2

これを講演の教科書にしようと謝礼をお支払いする代わりに
購入させていただき会員のみなさんにプレゼントしました。

SGビジネス双書
石井淳蔵/著
出版社名 :  碩学舎
出版年月 : 2014年2月
ISBNコード : 978-4-502-08740-0
(4-502-08740-8)
税込価格 : 1,890円

[要旨]

相手に共感し、経験をともにする現場で
ビジネスの知は生まれる。

マーケターの仕事は、
「その人と同じ目線に立つ」
「その人のために、自分はなにができるのかを考える」
ところからスタートする。

出版社のコメントにはこんなことばが書かれています。

講演は「創造的瞬間」という先生の言葉から始まりました。

時間の流れが一瞬止まり、ある空白の時間が流れた後、
今まで自分を縛り付けていたフレームが弱まり、
逆に内的な創造性や連想力が活性化する。

こんな一瞬を軽軽したことがありませんかと
そんな投げかけから講演がはじまりました。
ずっとひとつのテーマを掘り下げる。

そのテーマを考え続ける。
考え続けて、考え続けて、続けていると
なにかがふっとやってくるときがある。

それは「インサイト」 
徹底的にこだわり続けて
現場にいないとでてこない。

現場での実践が社会を創る。
実践は、現場を乗り越え、
現実の壁を克服する。

実践は、理論の限界を乗り越え、現実の壁を克服する
現実は、成り立つべくして成り立つものではない。
必然のなかで生まれるものでもない。

現実は、いつも、常に、
“他でもありえた様相(偶有性)”のなかで成立する。
文字にしてみるととてつもなく難解な文章になります。

そかしお話しされたのは平易な当たり前のお話。
人に寄り添う:相手の身になって考えること。
先生がインタビューされた事例が紹介されます。

「モノからコトへ」
「ものを言わない生活者」に寄り添うこと。
「寄り添うことで生まれる力への信頼」

製薬会社のエーザイの定款に書かれている
「患者様と喜怒哀楽を共にする」

それは患者さんの気持ちに寄り添うことであり
なにか患者さんのニーズを引き出すことでなく
それ自体が目的であると掛かれています。

それが車いすの少年に「靴履いてみるか?」と
声をかける靴屋の社長さんの事例
車いすの少年には靴は無用のもの。

しかし靴を履いてみると少年はすばらしい笑顔になる。
病床に伏す高齢の女性に赤い靴を差し出す。
歩行すらできなかった女性が赤い靴を履いて歩けるようになる。

本人でさえ気づいていなかったものが
「そうそう!こんなものが欲しかったのよ」
そんな生活者の言葉を引っ張りだせるのが
マーケターだと先生は仰る。

石井先生はぼくと同じ歳。
ひょんなことでPCを使い始めたころに
先生とメールのやり取りをはじめました。

一時はケメコ通信にも返信をいただいたことも何度かあり
先生の研究会にも参加させていただくこともありました。
我が国のマーケティングをずっと研究されてきました。

多分研究に研究を重ねて他の先生方の論文も読み込まれ
そして今、「寄り添う力」に到達されたのだと思います。
「寄り添う力 Being with you」

「マーケターは、正解のない道を歩み、
 未だ存在しない現実、
 つまり未来に向けて挑戦することを課題とします。

 未来に向けての挑戦ですので、
 自分のなかに「これをやりたい」という、
 自身をも奮い立たせるような強い思いが必要です。

 その思いの核となるのは、
 現場のなかで掴んだ
 インサイトだろうと思います。

 現場発のインサイトこそが、
 未来を掴もうとするマーケターにとって、
 命の次に大事な宝物になります。」

(「寄り添う力」あとがきより)


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いやあぁ!今月の定例会もすごいお話を聞きました。
MCEI大阪支部の定例会はずっとマーケティングのことを考えています。
まさに今!旬のマーケティングのお話でした。

2013年度、MCEI大阪支部は40周年を迎えました。
2014年1月〜3月までを記念月間と位置づけ
創立40周年記念講演を三ケ月にわたり開催してきました。

昨日の3月定例会で40周年記念定例会は終わります。
40周年。40年前は大阪で大きな世界の祭りがあった年です。
そんな時代からMCEI大阪支部はマーケティングを考え続けてきました。

私たちはマーケティングを金儲けの手段や
テクノロジーに陥れてはいけないと考えています。

マーケティングは人間が人間らしく暮すための
提案や指針を指し示すものと考えています。

人が生きていくために真に役にたつ
根源的なマーケティングでありたいと考えています。

MCEI大阪支部41年目の来年度2014年度の年間テーマは
「生活者とともに進む−マーケティングの可能性−」です。
まさに『寄り添う力』なんだと実感した昨日の定例会でした。


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MCEIは多様なマーケティングの現場で
困難な課題に挑戦し続けている
実務家の組織です。

希望はここから、
勝負はこれから。
これから面白くなる

今日、ここからまた新しい出発
元気出していこう。
(水口語録より)