澤田です。

「乗客は電車が創造する」

阪急・東宝グループの創業者小林一三の言葉です。
阪急百貨店梅田本店は1929年(昭和4年)4月15日に
いわゆる電鉄系百貨店として開業されました。

2008年(平成20年)例の村上ファンド騒動で阪神百貨店と合併し
現在は、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社傘下の
株式会社阪急阪神百貨店が運営する百貨店です。

昨日のMCEI大阪支部2012年度最後の3月度定例会は
昨年11月21日、7年間の建て替え工事を経て
グランドオープンした阪急うめだ本店の
開発コンセプトと店内見学会でした。

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テーマは『激戦区に展開する「劇場型百貨店」を知る』
講師は株式会社阪急阪神百貨店店舗企画室部長
店舗企画担当の中尾 宏之さん。

創業者小林一三の「乗客は電車が創造する」は
なにもない郊外に線路をひきその周辺の土地を買占め
宅地造成開発をしてマーケットを創造するという方式。

さらに箕面に動物園、宝塚に大浴場「宝塚新温泉」を作り
1914年(大正3年)には宝塚唱歌隊、後の宝塚歌劇団を創り、
京阪神エリアに路線を拡げ阪神急行電鉄となり
東京宝塚も含めて阪急・東宝グループとなっています。

そして2007年に梅田での永遠のライバルだった
阪急百貨店と阪神百貨店が青天の霹靂で合併し、
エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)が誕生しました。

百貨店業界の売り上げは1991年バブル崩壊には9.7兆円
それが2008年リーマンショックを経て2012年6.1兆円。
なんと63%に減ってしまっているのです。

講師の中尾さんはそんな歴史から話し始められました。
まだ合併話がなかった2005年から始まったうめだ本店の
建て替え工事の概要を聞きました。

工事完成時の現在の延床面積約252,000平米で
特に売り場面積は旧店舗61,000平米から
新店舗は80,000平米に増床しました。

そして注目すべきはその80,000平米の2割に当たる
16,000平米が非物販面積となり
旧店舗の2.3倍となっているということです。

生活者の成熟化が強まり既存店舗が
生活者のニーズに応えられなくなっていたという
反省のもとに再度原点に戻って「生活文化業態」であり
「生活提案力と総合力」を強化する。

「モノにまつわる文化的価値の提供
 ×顧客の求める付加価値ニーズ
 =楽しい買い物体験の提供」です。

ストアコンセプトは「素適な時間の過ごし方 暮らしの劇場」
「情報」リテーラーという新しいコンセプトを導入し
 全館各フロアに「コトコトステージ」を20ヶ所作ります。

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そして9階には12階まで4層吹き抜け祝祭広場を
「暮らしの劇場」のメインステージとし
またHPも社員のネット記者が常駐しスタッフブログなど
ライフスタイルニュースを毎日更新し続けています。

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実際店舗を見て回ると贅沢なレイアウトになっています。
9階までは天井高が約3600メートルくらいの高さがあります。
通路も広いですが地下の食品売り場はそれでも人が一杯です。

講演の最後にちょっと意地悪な質問をしました。
「この建て替えは成功でしたか?」

中尾さんのお答えは
「まだわからない、売上数字はちょっと厳しいか?
 でも滞在時間は確実に増えていますからどうキャッチするかです」

いやあぁっ!今回もエキサイティングなお話を聞きました。
まさに「わくわく!どきどき!」です
「わくわく!どきどき!」の劇場空間の創造です。

MCEIは多様なマーケティングの現場で
困難な課題に挑戦し続けている
実務家の組織です。

希望はここから、
勝負はこれから。
これから面白くなる

今日、ここからまた新しい出発
元気出していこう。
(水口語録より)

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