「巨人阪神はおもろいなぁ、何回見てもネタがちがうでぇ」

NGK(なんばグランド花月)のロビーでのお客さんの会話です。
そんな声をお客様を見送りながらそっと聞くのが
竹中さん一番お気に入りのマーケティングリサーチです。

昨日はMCEI大阪支部10月度定例会でした。
講師はあの「よしもと」。
株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシーの 
専務取締役 竹中 功さんです。

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旧新宿区四谷第五小学校にそのまま入居している
東京本部から駆けつけていただきました。
現在は収益も居場所も東京の方が多いらしいですが
やっぱり大阪でコテコテの大阪弁での講演でした。

テーマは『吉本興業100周年の戦略』というものでしたが
最近では当たり前になったPPTもPCも使わずに
ホワイトボードに手書きの文字だけという講演でした。

講演の最後にお歳を聞くとぼくと同じ「イノシシ」生まれ。
といっても同じ歳ではありません。一回り違います。
お生まれは大阪香里とかで高校までを過ごし大学は同志社とか。

そしてなんとあのよしもとに81年に入社。
おかあさんは息子がよしもとに入ったなんて言えなくて
「どこに入らはったんですぅ?」「あのぉぉっ!ちょっとぉ」

そうでしたねぇ。
「おまえなんか!よしもとでも行っとけぇ!」
っていうのが当時のよしもとでしたからねぇ。

「芸人は商品やからなぁ。あほぉぉっ」
これが配属された直属の上司からの最初の言葉だったらしい。
「おまえぇなぁ!タダでよしもとの事を宣伝してもらえるようにせぇ」

ということで新設された広報宣伝室に配属されました。
「なんでもええねん!悪いことしても警察に捕まっても
 それで大きく新聞に載ったらええねん。あほぉぉっ」

「大阪おもろナーレ!」で始まった吉本興業創業100周年記念キャンペーン。
1912年(明治45年)100年前に吉本せいが天満八軒のひとつ「第二文芸館」
という小さな寄席小屋を購入したのが現在の吉本興業の始まりです。

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“漫才”は大阪の発明品とおっしゃる竹中さん。
大阪の風土がナニワの芸人を生み出している。
「人づくり、モノづくりと金づくりが大事です」

竹中さんは82年(昭和57年)「吉本総合芸能学院(NSC)」を開設し
入社以来ずっとタレント養成にも関わっておられます。
講演の後半はタレント養成で話されているお話をお聞きしました。

「HAVE YOUR OWN OPINIONS!」
 自分の意見を持て!とでも訳するのでしょうか。
ロンドン留学していた友人に教えられた言葉らしいです。

LND/OSK (ロンドン/大阪)は
がんばってもゼロが1になるくらいですが
それが結果としてONLY ONEを目指すことができる

一方NY/TKY(ニューヨーク/東京)は
がんばればゼロが100になるところ。
そして勝ち抜けばNo.ONEになれるところ。

よしもとも東京の方が売り上げは多いけれど
だから東京に集中するのでなく
だからこそ大阪を大事にしたい。

若手の芸人に「HAVE YOUR OWN OPINIONS!」
「自分の意見を持て!もっと!もっと!感じろ!
 考えるのではなく感じること」

考えるのではなく感じること。自覚する。
なんとなく感じるのでなくちゃんと理解する。
頭の中にモヤモヤが生まれる。

そのモヤモヤを言葉にして話すと
1/10ぐらいしか伝えられない。
さらに文書に書いたらそれのまた1/10になる。

カンコピせえよぉ!
村上春樹を手書きで全編完全コピーしたら
少しだけ村上春樹になれる。

「一人しりとり」というのを見せていただいた。
あのなんでもない「しりとり」を二人でするのでなく
ひとりでする。それを周りで見ている。

それを「メタ認知」というらしい。
お前が知っていることを知る。
頭の中にあるハードディスクの中から引き出す。

「あなたも明日から爆笑王になれる!」として
その秘訣も教えてもらいました。
それは情報とデータというテーマ。

情報は属人的  データは日属人的
データを情報化するのが笑いであり属人的
そしてデータを共有 共通化するのが笑いの土台。

笑いを生むメカニズム。
それがマーケティング。ということは
なんとすべてがマーケティングなんですよね。

大阪が芸人を育てる。
よしもとの仕事はエンドユーザーに笑いを届けること。
最近ではまちづくりにも参画しておられるとか。

47都道府県すべてによしもとの芸人と社員を住まわす
「あなたの街に“住みます”プロジェクト」が始まり
地域の中にちゃんと根を張って活動が拡がっているらしい。

「最後に絶対に売れる秘訣を教えまひょかぁ!
 それはなぁ
 売れる秘訣は売れるまで辞めないこと!ですわぁ」

いやあぁぁっ!ほんとうにマーケティングでした。
ぼくらが今必死で考えているマーケティングに出来ることを
とっくの前からやったはります。

よしもとの大阪のDNAはこうやって磨かれ脈々と伝えられていきます。
今年、創業100周年を迎えた吉本興業では、4月からの1年間、
月替わりのお芝居『吉本百年物語』を上演しています。

いやあぁっ!今回もまさに旬な話題を聞きました。
MCEIは多様なマーケティングの現場で
困難な課題に挑戦し続けている実務家の組織です。

勝負はこれから。
これからが面白くなる。
元気出していきまっしょい。