「地球の呼吸を止めてはいけません」

さくらの花に浮かれ気味だった気持ちに
しずかに突き刺さる言葉でした。
昨日のMCEI大阪支部 2012年 4月度 定例会。

MCEI大阪支部の2012年度の年間テーマは「Re:Marketing
」です。
Re:Marketingとはマーケティングの原点回帰
今マーケティングができることを原点に立ち返って考える。

そしてもうひとつ「Re」はRe:mailなどの繋がりの意味もあります。

MCEI大阪支部の去年2011年度の年間テーマは
「素」(す)のマーケティングでした。

「これからの企業は日頃の《素》の顔が試されることになります」と
昨年の3月の定例会でお話した翌日にあの震災が起きました。
そして今年は改めてマーケティングにできることを考えるテーマです。

今までの現場のマーケティングの成功事例だけでなく
もっと人間の本質やイノベーションを突き動かす熱情なども
定例会のテーマにしようと考えています。

ということで東京からお越しいただいたのが
建築家の児島 学敏(こじま がくとし)さん。
都市文化研究会の代表であり武蔵野美術大学の講師です。

4月定例会3.jpg

児島さんは1945年土佐生まれとか。
長らく『街並みの美学』や都市景観という概念で有名な
芦原義信さんの芦原建築設計研究所で仕事をされています。

「地球の呼吸を止めてはいけません。
 ヨーロッパでは道路の舗装を剥がして土に戻していますが
 我が国ではせっせ、せっせとアスファルトで固めています」

「それは地球の呼吸を止めることではありませんか」
それを聞いて思わずぼくが大学の授業でつかっている
pptのスライドのぼくの文章を想い出しました。

「我が国は四方を海に囲まれた島国。
 亜熱帯から亜寒帯までの気候四季があり雨も多い。
 
 長い海岸線で、内陸には急峻な山並みがあり、
 その山々から流れ出る豊かで清らかな水が
 河川や平野をつくる。

 それらは米や野菜を作る農地を生み出し、
 海では豊かな魚介が育まれた。」

児島さんは「水が止まると町が死ぬ」とも仰る。
そして「風も止まってはいけない」と仰る。
アジア大陸の東端に位置する我が島国です。

日本の国土の七割が山であり急峻な山並みで
そして海に囲まれた島国であり海岸線は長い。

その山並みと海岸線に挟まれた狭い土地に
里地里山があり私たちの暮らしは自然との関わりでした。
風土  風流  風が流れる  四季がある。
 
自然(じねん)  山で働く 海で働く
夏の高温多湿と冬の豪雪があります。
想い出したように襲ってくる地震があります。

津波もあります。
台風もやってくる島国です。
決して暮らしやすい土地ではありません。
 
しかし私たちの先祖は知恵をだし助け合い暮らしてきました。
夏の暑さと冬の寒さはありますが少し我慢すれば
なんとか暮らしていけることができました。

それが戦後の復興の中でまるで狂ったように
古いものを壊しコンクリートで固められた
画一的な町づくりで都会を作り上げました。

「見渡せば花ももみぢもなかりけり 浦のとまやのあきの夕ぐれ」
児島さんはこの有名な藤原定家の歌(新古今集363番)を
なにもない景色ですが実は一番美しい歌と紹介されました。

また京都の枯山水の庭をとりあげ
「見る人の想像力で無数の景色が見える」と説明された。
そして記憶力が大事と話された。

多くの記憶が残っている町がいい。
多くの生活のドラマの記憶がある町がいい。
記憶が無くなれば町が消える。

私たちは雄大なものより優しさを求める民族です。
強いものより弱いものに惹かれます。
ですから「弱さを知る」ことができます。

強くて雄大なものはいつかは崩れます。
弱さを知る。永遠とはいったいなになのか。
それがこの国に住む民の知恵であり生きることです。

講演の後半は3・11以降取組まれている
東日本大震災「森は海の恋人運動」や
渋谷地区の再開発「東急Hikarie」などを紹介いただきました。

もう一度便利さだけを求め続ける生活を
今、考え直さなければなりませんと
最後にまとめられました。

4月定例会1.jpg

いやあぁぁっ!すごいです。
重いです。響きます。
今、まさにマーケティングにできることです。

MCEIは多様なマーケティングの現場で
困難な課題に挑戦し続けている実務家の組織です。
今年度のMCEI大阪支部もすごいです。
ご期待ください。

勝負はこれから。
これからが面白くなる。
元気出していきまっしょい!