「すべてはソーテー内でした!」

昨日のMCEI大阪支部2012年3月度の定例会は
千葉県浦安市の東京ディズニーリゾート(TDR)から
お越しいただいたオリエンタルランドさん。

昨年の3月11日に発生した東日本大震災。
そのときのすばらしい顧客対応で注目を浴びた
オリエンタルランドさんの危機管理のお話でした。

株式会社オリエンタルランド(OLC)は1960年設立。
ディズニー・エンタプライゼズ・インクのライセンスを受け、
ディズニーブランド施設を運営している日本企業です。

いろいろ企業展開はされていますがメインは
東京ディズニーリゾート(TDR)の二つのテーマパーク
東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)の運営です。

TDL(東京ディズニーランド)は1983年4月オープンです。
そしてTDS(東京ディズニーシー)は2001年オープン。
365日無休で開園し年間2500万人以上の来園者がある
国内最大最高のテーマパークです。

そして昨年 2011年3・11が。
TDRは震度5強。開園以来最大の地震が襲います。
当時来園者は7万人。ほとんどが家族ずれです。

講演ではCX制作の「Mr.サンデー」という番組で
「7万人の命守った3・11ディズニーの危機管理!」
というビデオが流されました。

そこで語られ見せつけられたのは
冒頭の「すべてはソーテー内でした!」
全ては「想定内」の範囲でしたということです。

TDR地震対策基本計画(マニュアル)に基づき
「冬の午後6時。震度6強。ゲスト10万人」という想定で
年間延べ180回にも及ぶ訓練を実施されているといいます。

オープン前とクローズ後にどこかのエリアで訓練です。
年間延べ180回ということは二日に一回は
この訓練が行われている計算になります。

「すべてはゲストの安全・安心のために」
TDRでは来園者をゲストと呼んでいます。
一方出迎える従業員はキャストと呼ばれます。

約1万人いるキャストは、9割以上がアルバイトです。
そのキャストが冷静沈着に対応して
初動の30分で情報収集とゲストの不安を取り除いたのです。

「みなさまにお知らせいたします。ただいま地震がありました。
 建物のそばにいらっしゃる方は 建物から離れて  
 広いところでお待ち下さい」

地震発生40秒後に流れた園内緊急放送です。
映像の中でもキャストが冷静に
「頭を守って、しゃがんでください」と呼びかけています。

<防災ずきん代わりにぬいぐるみを配布>というエピソードも紹介されます。
ショップの売り物のテディベアのぬいぐるみをキャストが持ち出し
ゲストの頭を守ってくださいと配られ
ショップの商品棚や倉庫が空になりました。

「ゲストの安全のため、店内にあるものを
 全て使っていいと訓練で教えられました」と
若い女子キャストのことばが印象的です。

そして夜が来て交通機関の復旧がめどがつかないため
園内に残った帰宅困難者は約2万人に

気温は4℃までに冷え込んだ屋外で
それでも笑顔を絶やさなくブルーシートや
食料を配布するキャストたち。

VTRはここで終わりました。
講演はその後はテーブルごとに座った参加者たちと
クイズやゲームなども織り込み
ディズニーフィロソフィ(哲学)を学びました。

キャリアのアルバイト代を聞いても
それほど高いものではありません。

それでもあのTDLやTDSで働いたという満足感が
彼らのモチベーションを高めるのでしょう。

ディズニーブランドをいかにハイポジションに維持するか。
周到に計算されたそのマニュアルとオペレーションが
すばらしい顧客対応を生んでいるのです。

いやあぁぁっ!
昨日もおもしろいお話を聞くことができました。
MCEI大阪支部は今「旬」のお話が聞けます。

昨日の定例会が2011年度の最後の定例会でした。
2011年度のMCEI大阪支部のは年間テーマは
「素」(す)のマーケティング。

昨日のお話もオリエンタルランドという企業の
「素」の顔や日常が見えてきました。
来月の定例会は2012年度の最初の定例会です。

MCEIは多様なマーケティングの現場で
困難な課題に挑戦し続けている実務家の組織です。
来年度のMCEI大阪支部にご期待ください。

勝負はこれから。
これからが面白くなる。
元気出していきまっしょい!