それはリーディングカンパニーの為せるワザなのか!
はたまたトップブランドを負かされている自負なのか!

昨日のMCEI大阪支部8月度定例会もすばらしいお話を聞けました。
お越しいただいたのはキリンビバレッジ東京本社の
マーケティング本部マーケティング部商品担当 西村 努さん。

MCEI大阪支部の定例会のテーマを探していたとき
キリンビレッジさんになにかありませんかとお願いしたところ
昨年大ヒットした「キリン 午後の紅茶エスプレッソティー」を薦められました。

西村さんとは昨日が初対面でした。
会場に入って来られたときは東京から来られたせいか
どこかの疲れた営業マンかアルバイトかと思ったくらいでした。

西村さんには大変失礼だったのですが勝手に
キリンビバレッジというリーディングカンパニーの
トップブランド午後の紅茶商品担当という重責のお仕事を想像していました。

ところが西村さんはお若くてまったく脂ぎってなく飄々とされていて
いわゆるバリバリのマーケッターというイメージではありません。
思わず「何年入社なんですか?」と大変失礼な質問をしてしまいました。

そんな失礼な質問にもちゃんと答えていただきました。
キリンビバレッジに入社してまだ12年目。
最初の2年は関西支社にいてその後本社で商品担当。
ずっと缶コーヒー担当でその後紅茶担当とか。

ぼくにとって仕事上の永遠のお得意先は
キリングループが一生のお得意先だと勝手に思っています。
最近は仕事の声もかかりませんがまだお世話になった方が大勢おられます。

ぼくの悪い癖でキリングループの若い人を見ると
ついあの人もこの人も知ってるでぇとネットワークを
自慢げに振り回すいやな奴になってしまいます。

大いに反省をしているのですが昨日も西村さんの社歴を聞くと
彼の周りにいるエライさんはほとんど知っている人。
そんなことで講演前にちょっと萎縮されたかと心配しました。

先月7月14日に開催したMCEI定例会のときに
ちょうど今日で「キリン 午後の紅茶」が
発売25周年!になりましたとお話がありました。

25周年になった「キリン 午後の紅茶」を
社歴12年の西村さんが缶コーヒー担当だった経験を生かして
「キリン 午後の紅茶」の新しい商品戦略を創造します。

「キリン 午後の紅茶」は25年前の1986年に開発がスタート。
紅茶は抽出してから冷やすとどうしても濁ってしまいます。
それを独自のクリアアイスティー製法を開発します。

その結果他の紅茶飲料が中身が見えない缶だけだったのを
中が透けてみえるペットボトルに入れました。
家庭用冷蔵庫を意識した初の1.5リットルペットボトル入り紅茶です。

1996年には500ミリリットルのペットのペットボトルが
自販機に装填が許可されてアウトドア用途が一気に広がります。
「キリン 午後の紅茶」は紅茶飲料の約34%シェアを維持し
輸入紅茶葉の20%を使用しているというトップブランドです。

先輩たちが築きあげてきたトップブランド。
それを今度は長く缶コーヒー担当だった西村さんが担当に。
自らも缶コーヒー人間をおっしゃる西村さんのマーケティングプラン。

それは缶コーヒーの代わりを目指す。ということ。
市場調査をしてみると「午後の紅茶」は
飲んでる人は多いが飲用本数が少ない。

缶コーヒーのショートブレーク時に飲むような紅茶飲料を開発する。
そうしてたどり着いたのがエスプレッソ紅茶でした。
エスプレッソとは高温高圧の濃厚抽出、カテキン総量が多いという特徴。

2010年新発売時の広告コピーは
「これからはエスプレッソと言えば紅茶です。」

パッケージはあくまでも缶コーヒーヘビーユーザーにむけて
あえてペットボトルではなく190g缶で発売しました。
コンビニの棚も紅茶の棚でなく缶コーヒーの棚に置かれました。

結果缶コーヒーの棚には立ち寄らなかった女性の購入比率が増え、
朝しか売れない缶コーヒーがこの「エスプレッソティー」は
女性が会社の帰りにということで夕方にも売れることになりました。

結果なんと目標100万ケースが4倍以上の売り上げを達成!

2年目の今年2011年の戦略は商品ラインの拡充。
「ブラック無糖」が 2011・4に新発売。
そして「アイスラテ」も 2011.6に新発売されています。

あくまでもターゲットは缶コーヒーの
ヘビー・ミドル・スタンダードユーザーです。
社内の缶コーヒー担当者からはウラギリモノ!の声もあったとか。

そんな成功事例をデータを交えて淡々と話していただきました。
予定より早く終わったのでみなさんからの質疑応答がありました。
そのなかできらりと光った西村さんの言葉。

「ブランドは企業のものでもなく、
 担当者のものでもなく、
 お客様のものなんです」

いやぁぁっ!こんな現役バリバリのお話が聞ける。
MCEI大阪支部の定例会のテーマはおもしろいです。
まさに今が旬の話題を聞くことができます。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110215/bsc1102150501002-n1.htm

2011年度のMCEI大阪支部のは年間テーマは
「素」(す)のマーケティング。
これからの企業は日頃の「素」顔が試されることになります。

2011年度のMCEI大阪支部の活動に参加したひと
すべてが「素」(す)の美しさや素直さを
改めて感じさせるマーケティング活動。
そんなMCEIでありたいと思っています。

「この歴史的な困難の中で、マーケティングは、
 どういうことになるのであろうか。
 勝負はこれから。元気出していこう。」(水口語録より)