澤田です。
「ヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ」
酷暑の夏は青空を見上げ、豪雨の降る時は 田んぼの稲が心配と見に行き 毎年不作は天気のせいにする。
昨日はMCEI大阪支部の2010年9月度の定例会でした。 会場はいつもご無理をお願いして用意していただいている 大阪守口市にある三洋電機のご本社の会議室。

会場全景
東京からお呼びしたのが農業ジャーナリストと 自ら名乗られる青山浩子さん。 今メディアでは結構農業の注目があつまっています。
青山さんは愛知県生まれで大学は京都外大卒。 JTBに就職したけれど営業がうまくできなかったとかで 韓国留学や韓国系商社を経て船井総研に勤務され99年に独立され 農業ジャーナリストとして現在に至ると冒頭に自己紹介がありました。
講演は農業をとりまく環境のデータの紹介から始まりました。 耕地面積が1961年から3/4に減っている。 販売農家数もこの20年で半分近くまで減っている。
農家数は減少して高齢化は進みというマイナスデータばかり。 唯一のプラスデータは耕作放棄地の増加だけという 目を覆わんばかりの散々たるデータばかりです。
ところが供給されている国民一人当たりの熱量は 摂取熱量が減ってきていることもあり はるかにオーバーフローしていて 今でも供給熱量を減らさないといけないらしい。
食料の自給率が40%を切るところまでなっていますが それでも供給熱量はオーバーフローです。 安い輸入品ですべてがまかなわれているわけです。
そんな中でも唯一ほぼ100%の自給率を誇っているのはコメです。 30年以上前から私たちの国はコメの減反に取り組んでいます。 主業農家一戸当たりの平均所得はたったの550万円ほどです。
兼業農家が多く年収700万円以上ある農家はたった13%ほど。 これでは子どもを大学に行かすわけにいけません。 それでも広い農家に住み車も3台くらいはあります。
青山さんはビジネスモデルとしての農業と 食料自給のための農業は切り放して 考えなければいけないと仰る。
青山さんのビジネスモデルとしての農業は 元気な農家、儲かる農家です。 現実に儲かっている農家の事例をお話いただきました。
最近は規制緩和による大手企業の農業参入もありますが まだまだ利益がでている企業は少なく 農業ビジネスの苦闘をお話されました。
儲けにくい農業環境の要因は収益への変動要因が多い。 不作をほとんどの農家は天気のせいにする。 あいたたたた!ぼくら営業もすぐに天気!景気!のせいのします。
青山さんの考える儲かる農業ビジネスは 原価計算ができる農業経営者を増やすこと。 生活者視点で考え地域密着の企業とのコラボの事例も紹介されました。
最後の質疑応答では参加者から活発な質問が飛び交いました。 「ほんとに農家の人たちが農業経営者になれると思いますか?」 二代続いている奈良の野菜のタネ屋さんからの質問です。
決して農家をバカにしているわけではありません。 しかし現在の農家にはマーケティングやマネジメントという 概念は希薄であり学ぼうにも忙しくて学べない現状があります。
余りにもむつかしい現実が目の前にありました。 終了後懇親会でタネ屋さんが差し入れていただいた 朝どりのミニキューリがなんともうまかったです。

青山先生
MCEIはいろんな業界でいろんな現場で 困難な課題に挑戦している実務家の集まりです。 MCEIが取り上げるマーケティングの領域は広範です。
商品開発、広告、販促、営業、流通、 さらに組織や経営も取り上げます。 実務の世界では、すべて分かちがたく結びついているからです。
いやあぁっ! おもしろいお話とおもしろいご意見交換と おいしいキュウリとお料理とおいしいビールで盛り上がりました。