「近年の流動化社会は「愛より経済!」なってしまった」
昨日はMCEI大阪支部2010年5月度定例会でした。
お招きした講師は株式会社ニトリの
取締役特命担当阪本美樹(さかもとよしき)さん
お聞きするとぼくより4歳年上。
一見すると声が大きくて関西弁の
どこにでもおられそうなおっちゃんです。
現在はあの「お、ねだん以上。ニトリ」の似鳥社長に
特別に請われて現在取締役特命担当の就任され
似鳥社長のガードマンを自任されておられます。
阪本さんは宇治山田高校を卒業後、1962年に四日市にあった、
ジャスコ(現イオン)の前身岡田屋に就職され
永らく岡田会長とともに現在のイオンを築いてこられました。
最後は専務取締役ディベロッパー事業担当をされ
多くの大型店舗を日本各地に作られてきました。
ですから昨日の講演の多くは日本の流通革命についてでした。
「なぜ中内さんをダイエー葬やスーパーマーケット葬で送れなかったのか!」
冒頭の坂本さんの言葉を聞いて思わず涙がこぼれそうになりました。
ぼくも中内さんの偉業を認めるものとしての同じ思いを持ち続けていました。
1950年代から始まった我が国の近代工業化社会のなかで
三人の若者がアメリカに向かいチェーンストアを学びます。
セルフサービスディスカウントデパートメントストアです。
東京の上野に開業していたイトーヨーカードーの伊藤さん。
四日市にあった岡田屋の岡田さん。
そして大阪千林商店街の主婦の店ダイエーの中内さんです。
戦後の焼け野原のなかを泥水を飲みながら
それこそはいずりまわって働き続け
今のこの国の繁栄を創り上げてきた人たちです。
1975年ごろには我が国の近代工業化時代は終焉を迎え
いままで我が国の発展を支える基盤になっていた
大家族制が崩壊し核家族になり組織も資産も
絶対的価値がなくなりすべては流動化していきます。
そして世の中は技術革新のなかで「愛より経済へ」に移行します。
阪本さんは講演のなかでこんなことを話されました。
流通業というのはもともと「不」をとる仕事なんです。
お客様の「不」満、「不」安、「不」信の「不」を取る仕事です。
「不」をとって満足してもらい、安心してもらい、
信用してもらうことが仕事ですと仰る。
ところが流動化社会のなかでは効率や売上が重視され
「不」を取る仕事が重視されなくなってしまった。
その結果流通業で構造改革ができなくなってしまった。
流通革命、価格革命などの革命っていうのは
主役が代わることなんです。
決して流通破壊、価格破壊ではありません。
阪本さんの講演は熱かった!
なんと最後にドラッカーまで登場した。
「会社のためでなく自分のためにドラッカーを読め!」と締めくくられた。
ぼくも担当している京産大での営業力の講義のシリーズに
営業力Ⅳ「流通業の営業力」という講義を受け持っています。
その授業の中で話していることがあります。
戦後から今日に至るまで流通業人が挑戦し続けてきたものは、
狭く流通革命という問題だけでなく、我が国において
長く続いてきている「士農工商」というものに対しての
戦いと挑戦の歴史であった。
それは商品の価格決定権をメーカーから奪い取り、
商品そのものの価値を認めるのは消費者であり、
それを実感できるのは消費者の側にいる流通業が
成し遂げなければならないことである。
いやあぁぁっ!MCEIっていうのは
ホントにおもしろいですよ!
ぜひ来月の定例会にはお越しになりませんか?